今日のドイツ語そうだったのか①:die Heimkehr
ドイツ語の学習や、日常的なミス(笑)を通して発見した「ドイツ語そうだったのか」を紹介していこうと思います。
できるだけ辞書などを調べて書くようにはしますが、個人的な体験を元にしたものなので、地域差や個人差があるかもしれません。その場合はご指摘いただいたり、「うちの地域ではこういう言い方をするよ~!」なんて教えていただけたら嬉しいです。
1回目は「die Heimkehr」 (動詞は「 heimkehren」。分離動詞)
「das Heim」は「わが家」(英語でいうhome)
「kehren」は「戻る、帰る」
この組み合わせの言葉で、『独和大辞典』(小学館、第2版)の「die Heimkehr」の訳は「帰宅, 帰郷, 帰国, 帰省」となっています。『アクセス和独辞書』(三修社)を引くと「帰省する」は「nach Hause fahren, heimkehren」となっています。
ですが、この「die Heimkehr / heimkehren」、「帰省(する)」の意味で使うには少し注意が必要な単語だったようです!
先日、面接を受けたというお話を書きました。
「2週間以内にお返事します」ということだったのですが、約1ヶ月が経った現在になっても、連絡がない! こういった「面接後、連絡なし」というのは、ドイツ語でも「Ghosting」と呼ばれたりするようです。
面接の感触的にも「落ちたんだな~」とは思っていたのですが、年末帰省の予定も立てたい手前、すっきりさせておきたいので、問い合わせ(Nachfrage)メールをすることに。
こういった就活関連のメールをする際は、ドイツ語圏でも当然お作法があるようなので(前向きに、仕事への情熱をアピールする、今回の場合は相手を責める口調にせず、あくまで丁寧に、など)、ネットでシチュエーションに合った文面を紹介しているサイトを見つけて、例文を参考に、自分の状況に合った形に書きかえて作成するようにしています。
今回は「Keine Antwort nach dem Vorstellungsgespräch(面接の後、返事がない)」で検索→そこで出てきたサイトを読んで、そこで見つけた「Nachfragen nach dem Vorstellungsgespräch(面接後の問い合わせ)」のワードでさらに検索→こちらのサイトを主に参考にして、書きかえました。
文面は概ねこんな感じ。
Sehr geehrte/r Frau/Herr (担当者の名前),
ich melde mich erneut bei Ihnen bezüglich meiner Bewerbung als (役職名)und möchte hiermit nochmals mein grosses Interesse an der Stelle zum Ausdruck bringen.(ここに追加して、仕事の熱意や、理想の職場であるというアピールの文章。会社や職務内容、面接内容に合わせて作成。)
(役職名)に関する応募につきまして、改めてご連絡させていただきました。もう一度、本ポストに関する私の高い関心を表明させていただきますと~(個々のケースにあった内容)。
Deshalb möchte ich mich gern über den aktuellen Stand des Ablaufs informieren. Können Sie schon abschätzen, wann eine Entscheidung fallen wird?
ですので、現在の選考状況について教えていただけましたら幸いです。内定者がいつ頃に決定するか、お分かりになりますでしょうか?
Wenn Sie noch weitere Informationen zu meiner Bewerbung benötigen, melden Sie sich bitte jederzeit bei mir.
今回の応募について、追加で必要な情報などありましたら、いつでもご連絡ください。
Mit freundlichen Grüssen (など結びの挨拶)
(自分の名前)
私の場合、ここの「選考状況を教えてください」という段落のところに、「年末の帰省の予定を立てなければならないため」という理由を足しました。
ここ、足さなくてもよかったのかもしれません。実はすでに帰省のためのチケットを仮予約(72時間はキャンセルできる)している状況で、ちょっと正直にというか、自分でそう書いておきたい気持ちがウズウズしていました。「早くお返事くださいね」的な保険をかける気持ちで。
マイナスになる内容やcomplicatedに聞こえる内容ならともかく、妥当な理由ならば、ちょっとパーソナルなことを書いてもいいのかな、とも思いました。
そこで、こう書きました。
Ihre Rückmeldung würde mir auch sehr helfen, weil ich bald eine Heimkehr am Ende des Jahres planen soll.
じきに年末の帰省の予定を立てなければならないので、お返事をいただけましたら大変助かります。
ここで「eine Heimkehr」を使いました。
ところが、夫の帰宅後に「今日、こんなメールを書いたのよ~」と報告すると。
「う~ん。Heimkehrは、『帰る』って言っても、祖国に戻って、もう帰ってこないみたいに聞こえるよ」という指摘が!
つまり、この文面だと、「この仕事決まらなかったら、祖国に帰るので、さっさと連絡くれちょ」という、なかば脅し的な印象になりかねない……のか? \(^o^)/
和独辞書では「帰省」=「Heimkehr」的な感じだったので、大丈夫かなと思ったんですけどね……。
この指摘を受けて初めて独独辞書『Duden』(6. Auflage)を引きました。
Heimkehr, die; -;
Das Heimkehren: die H. Der Kriegsgefangenen, der Emigranten; die H. Aus dem Krieg.
とあります。
はっきりと「帰ったきり戻らない」という説明はありませんが、例文では「戦争捕虜/亡命者・移住者の帰国、戦争からの帰還」という感じなので、ニュアンス的にはやっぱりそうなのかな。
「die Heimkehr」=「das Heimkehren」(=動詞「heimkehren」の名詞形)ともあります。「heimkehren」の項は以下のようになります。
heimkehren <sw. V.; ist>;
nach Hause, an seinen Heimatort, in die Heimat zurückkehren: Mit leeren Händen h.; nach längerer Abwesenheit h.; von einer Expedition h.
語義自体は「家、出身地、故郷に帰ること」とありますが、例文が「何も持たずに(得るところなく)故郷に帰る」「長期の不在の後に帰ってくる」「調査旅行から戻る」となっているので、やはり「一旦帰国する、帰省」的な意味はあまり汲み取れないのかな~。
急ぎのとき、作業量が多いとき、根気がないときはつい独和辞書と和独辞書で済ませがちな私。しかし、細かなニュアンスを知るには、やはり独独辞書が一番役に立ちますね。本来、違う言語を一語一対応で変換するのは不可能なお話ですし。
常日頃から、独独辞書を引こうと改めて思わされる経験になりました。
ちなみに私は電子辞書を使用していますが、独独辞書の大御所『Duden』はネットでも閲覧可能です。
そして、返事はまだない~。返事がないまま時間が経過して仮予約が確定したら、心残りなく日本に帰るぞ~!
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