ジャコメッティを常設展で見る。おすすめの美術館 in スイス
アルフレッド・ジャコメッティ
お隣の国フランスはTHE・芸術大国ですが、スイス出身の大物アーティストも結構います。パリで活躍した人も多いので、「あれ、この人、実はスイス人だったんだ!」というパターンもあるあるです。
そんなスイス、国を代表する2大アーティストは、アルフレッド・ジャコメッティ(彫刻家・1901-1966)とフェルディナント・ホドラー(画家・1853-1918)。
特にジャコメッティは、日本の方でファンも多いのではないでしょうか?
ジャコメッティは100スイスフラン紙幣にも肖像と作品が印刷されています。
人間を極限まで引き延ばしたような細長いシルエットのジャコメッティ作品は、実存主義とも結びつけられます。日本でも戦後、サルトルを代表とする実存主義哲学が大いに流行しました。青春時代に親しんだ方も多いのではないでしょうか?
また、ジャコメッティは日本の哲学者・矢内原伊作と知己の仲でもあり、矢内原をモデルとした作品も制作しています。
そんなこともあり、個人的には、何かストイックさと寂しさを感じさせるジャコメッティの作品は、日本人の感性にピッタリと合うものがあるのではないかと思うのです。
チューリッヒ美術館のジャコメッティ常設展示がオススメ!
そんなジャコメッティ、スイスの多くの美術館で作品が展示されています。今年夏にはヴィンタトゥール美術館で、ジャコメッティとホドラーの企画展が開催されました。
でも、旅行者の方をはじめ、なかなか企画展に合わせて美術館に足を運べない方も多いと思います。
そこでオススメなのが、チューリッヒ美術館(Kunsthaus Zürich)。
私は先日、フランスの画家ロベール・ドローネーの企画展を見に行ったのですが(こちらの展覧会も素晴らしかった! 後日、少し気合いを入れて別記事に書く予定)、その後にコレクション展示をウロウロしていると。。。
中二階のようになったフロアに、大量のジャコメッティ作品が展示されていました。THE・ジャコメッティ! というべき、クオリティの高い作品が並んでいます。
ジャコメッティ作品のために特別に作られたコーナーのようで、気合いが入っています。もしかしたら、下手な企画展よりも充実しているかも……?
常設でここまでジャコメッティ珠玉の作品が揃っている美術館は、なかなかお目にかかれないのではないでしょうか。
美術館のホームページを参照してみると、アルフレッド・ジャコメッティ財団(Albert Giacomerri Stiftung)の所蔵作品が、チューリッヒ美術館、バーゼル美術館、ヴィンタトゥール美術館で展示されているそうです。
このジャコメッティ財団コレクション、1963年に個人コレクターによって創立された財団のコレクションにジャコメッティ本人や遺族からの寄贈作品が加わったもの。
なんと170点の彫刻、20点の絵画、80点のドローウィング(2018年9月現在)をはじめとした、大規模なコレクションです。
彼の初期〜晩年の作品までをカバーした大コレクションの中から、とっておきのものがチューリッヒ美術館で展示されているんですね。
また、実はジャコメッティの父、ジョバンニ・ジャコメッティも画家でした。
彼の作品は日本ではなかなかお目にかかれないですが、スイスの美術館では結構見かけます。どうやら色々と実験してみるタイプだったようで、ポスト印象派のあれこれ(点描主義、フォービスム、表現派など)から、象徴主義的な作品まで、様々な画風の作品を残していて面白いです。
ここまで画風が変わる人も、なかなか珍しい! と感心して見てしまいます。
チューリッヒ美術館の基本情報
チューリッヒ美術館の基本情報についてご紹介します(2018年9月現在)。
チューリッヒ美術館(Kunsthaus Zürich)
http://www.kunsthaus.ch/en/?redirect_url=title%3DDommages
↑英語のホームページへのリンクです。
・住所
Heimplatz 1 8001 Zürich
チューリッヒ中央駅(Zürich Hauptbahnhof)からチューリッヒ湖に向かって歩き、湖の左岸にあるベルヴュー広場(Bellevueplatz)の手前を左折。レミ通り(Rämistrasse)に沿って、坂道をまっすぐ歩いていくと到着します。
・開館時間
火曜日・金〜日曜日 10時〜18時
水・木曜日 10時〜20時
月曜日は閉館。
・入場料
企画展+コレクション展チケット
大人 23スイスフラン(学生、高齢者等の割引該当者は18スイスフラン)
団体(20名以上) 19スイスフラン
16才以下の方、車椅子とその補助の方は入場料無料
オーディオガイドは別料金
コレクション展のみ
大人 16スイスフラン(学生、高齢者等の割引該当者は11スイスフラン)
団体(20名) 11スイスフラン
16才以下の方、車椅子とその補助の方は入場料無料
オーディオガイド無料(英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語)
そして……水曜日はコレクション展のみなら無料!
夜8時まで開いている日なので、狙い目ですね^^
ビュールレ・コレクション&新館
チューリッヒ美術館は目下、新館の工事中。
今年(2018年)、日本の3都市(東京、福岡、名古屋)で開催された「至上の印象派 ビュールレ・コレクション展」、覚えていらっしゃるでしょうか?
スイス人実業家であるE. G. ビュールレが一人で集めた近代絵画の一大コレクションで、ルノワール《イレーヌ・カーン・ダンベール嬢(可愛いイレーヌ嬢)》、セザンヌ《赤いチョッキの少年》の来日が特に話題になりました。
このビュールレ・コレクション、実はチューリッヒ美術館に移管されたもの。
一度こちらチューリッヒ美術館でお披露目をした後、日本での大規模な展覧会のために貸し出されていたのです。
この新館ができた暁には、日本からスイスに帰ってきたビュールレ・コレクションが加わり、さらにチューリッヒ美術館がパワーアップするはず!
これからも期待のチューリッヒ美術館です♪
(企画展のラインナップも好きなので、年間会員になるか迷っています……!)
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