mi-diary 〜くま好き女子のスイス生活〜

約5年の超遠距離恋愛を経て、2018年にスイス人と国際結婚。現在スイス東部ザンクト・ガレン在住のくま好き女子が、スイス生活をつづります。スイス〜ヨーロッパのアート・文化に関する記事も更新。

Hochdeutschは外国語? 標準ドイツ語とスイスドイツ語①

 
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前回は語学学習のモチベーションについて書きましたが、今回は標準ドイツ語(Hochdeutsch, Standartdeutsch)とスイスドイツ語について。

 

 ※ドイツ語やスイスドイツ語に関しては、スイスに来たばかりの私にとっては学ぶことがまだまだ多いので、この記事はあくまで①ということで、気づいたことがあれば今後また記事にしていきたいと思います。また寡聞ゆえ、間違ったことを書いていることがあれば、ご指摘いただけましたらと思います。

 

 

ドイツ語はドイツ、オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、イタリアやベルギーの一部など国境をまたがって複数の国で話されている、「国際的」言語といえるかもしれません。しかし実態としては各地域によって方言が話されており、標準語として「標準ドイツ語」が設定されているものの、日常レベルではその土地の方言が用いられていることになります。

余談ですが、先日旅行したフランスのアルザス地方は国境近くという土地柄、領地の取り合いによってフランスである時期とドイツである時期があったため、現在も標識やお店の看板にドイツ語的な名残を見ることができました。ホテルやお店の従業員にもフランス語話者でありドイツ語話者でもある人が多かったように思います。

 

日本でも大阪では大阪弁、鹿児島では鹿児島弁が使われるが、標準語も使用されるといえばシチュエーションは分かりやすい気がします(そもそも日本の標準語も近代になって導入されたものですし)。

ですが、ドイツ語圏の方が各地域の方言の特異性を保つという意識が高いような気がします。これはたとえば歴史的に政治が中央集権型で行われるフランス(日本も?)に対し、より各地域の独自性を尊重する連邦制を取るドイツ(スイスも)という違いも反映されているのかもしれません。

 

 

さて、私が住んでいるスイスでも、標準ドイツ語とは異なる「スイスドイツ語」が話されており、さらにスイスの各地域でも異なる方言が話されています。私の所感では、スイスドイツ語話者同士は異なる方言でも何となく分かるため、そのまま話しているようです。

それでも地域的な違いは大きく、たとえばクッキー(keks)を指す語でも私が住むザンクト・ガレン周辺とルツェルンでは単語が全く違ったり。私の夫はベルン出身の子のテキストメッセージは、よく考えなければ意味を取り違えることがあるとぼやいていました。

(他地域の方言の悪口を言い合うのが、スイス人の特徴?楽しみ?でもある気がしています)

 

しかし学校の授業や公的な書類、新聞などの印刷物、(一部を除く)TV放送では標準ドイツ語が使用されています。

主に話し言葉はスイスドイツ語、書き言葉は標準ドイツ語という形が取られているといってよいでしょう。携帯のメッセージについては、義両親世代は主に標準ドイツ語を使用するが、デジタル・ネイティブに近い世代ではスイスドイツ語が用いられるという現象も見られて面白いです。

 

そんなスイスでドイツ語のクラスに通って習うのは、標準ドイツ語。スイスドイツ語のクラスもありますが、標準ドイツ語をある程度修めたあとのエキストラな存在。スイスドイツ語には決まった文法や綴り方がないので、語学学校で習うのは標準ドイツ語になりますし、ほとんどのスイス人も私に「まず標準ドイツ語を勉強するのがいい」と薦めます。

 

 

正直、スイスドイツ語はかなり標準ドイツ語と異なるので、ドイツ人にも理解が難しいことがあるのではないかと思います。またスイス人は非スイスドイツ語話者に対しては(スイスドイツ語の癖は出ながらも)標準ドイツ語に切り替えて話します。

 

しぜん、私もスイス人と話すときには英語か標準ドイツ語になります。家庭によって相違はあるかもしれませんが、私の場合は義祖父母(非英語話者)も標準ドイツ語で話してくれるため、私の拙いドイツ語で何とかコミュニケーションを図っています。

 

そんなスイスドイツ語を取り巻く環境について、ネイティブの感覚はどのようなものなのだろう? と思うこともしばしば。

そんななか、偶然発見した(なぜかWespe=スズメバチについて検索している内に辿り着きました)、とても興味深く勉強になったコラムをご紹介します。諏訪功・一橋大学名誉教授がドイツ語技能検定試験の公式サイトに寄せられたもので、ドイツ、オーストリア、スイスのドイツ語について連載的に書かれています。

 

コラム一覧はこちら

www.dokken.or.jp

 

 

 

その中で、最近の体験と合わせて「はっ」としたのが以下の部分。

 

たとえばドイツ語専攻の学生さんの書いた「スイス留学体験記」には次の1節があります。『スイスに到着してまず驚いたことは,スイスドイツ語と標準ドイツ語の違いである。…スイス人からすれば,標準ドイツ語とスイスドイツ語は,単語や文法は共通しているとはいえ,「別の言語」なのだそうだ。

 www.dokken.or.jp

 

 

実は先日、夫と最近難しいと思っていることについて吐露する機会があり、私が「ドイツ語もまだまだで英語でなければ意思疎通できないし、スイスドイツ語に切り替えられてしまうとさっぱり分からないので、パーティや夫の友人の集まりが憂鬱なときもある」と伝えたところ、夫は「僕たちにとっては標準ドイツ語もネイティブではないから、みほちゃんがスイスドイツ語を話せないのはもどかしいと思うこともある」と言っていたのです。

 

そのときにも「ん?」と思ったのですが、このコラムでスイス人にとって標準ドイツ語は「別の言語」と書いてあるのを読んで、腑に落ちました。

からしたら「ドイツ語はドイツ語なのだから、簡単に切り替えられるでしょう?」「ならば、せめて標準ドイツ語で話してほしい」という気持ちでいたのですが、スイス人にとっては標準ドイツ語で話し続けることは、多少ハードルを感じることなのかもしれません。

 

スイスに住むドイツ人でもスイスドイツ語を話せる人は少ない中、私が標準ドイツ語を習得し、スイスドイツ語を理解する日はいつ来るのか……。

 

わがままかもしれないけど……それでも標準ドイツ語、あわよくば英語を話してほしい(笑)。

 

そんな思いは抱きつつ。でも、もう少し大らかな気持ちで、スイス人の集まりとそこでの彼らのスイスドイツ語での会話に向かい合おうと思ったのでした。

 

 

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